山九株式会社さま
【物流】

つくった再エネを余さず活かす 
グループ内循環で広がる脱炭素のかたち

全国に多くの拠点を持つ山九株式会社。カーボンニュートラル推進部は、2050年までにCO₂排出量を実質ゼロにする削減目標にむけて全国の支店と連携しながら脱炭素を推進しています。屋根強度などの理由で太陽光発電を設置できない拠点にも再生可能エネルギー(以下再エネ)を届ける仕組みとして、「自社で発電した再エネの活用範囲をいかに広げていくか」が課題でした。新設の横浜ロジスティクスセンターへの太陽光オンサイトPPA導入を起点に、余剰電力を鹿島支店へ供給する循環型電力を採用。今回は、脱炭素への取り組みを推進するうえでの社内理解の醸成や、展開のポイントについてお話を伺いました。

お話を伺った方

山九株式会社 カーボンニュートラル推進部 部長 村上公彦 さま
山九株式会社 カーボンニュートラル推進部 グループマネージャー 廣岡寿雄 さま

企業紹介

創業は大正7年。“心に「Thank you」を、世界の産業の山九を。”をパーパスとし、モノづくりを支える「プラント・エンジニアリング(機工)」とモノの流れを担う「ロジスティクス(物流)」の2つの事業を展開。国内外に多くの拠点を持ち、物流・構内操業・設備保全など、幅広く現場を支えている。

導入サービス
  • 太陽光オンサイトPPA
  • 循環型電力(再エネ供給)
導入施設
横浜ロジスティクスセンター(太陽光オンサイトPPA)
鹿島支店管理の6号倉庫、鹿島支店事務所、鹿島物流センター(循環型電力)
※今回のインタビュー対象施設
記事のポイント
  • 事業との両立を前提に、現場の理解を得ながら再エネ導入を推進
  • 太陽光パネルを設置できない施設には「循環型電力」で再エネ活用を展開
  • 拠点ごとの条件に応じて、再エネ調達の選択肢を拡大

2050年CO₂排出量実質ゼロに向けて、事業を進めながら“できることからやる”脱炭素へ

みなさんが所属している部署や役割、ミッションについて教えてください。

村上氏:

山九株式会社のカーボンニュートラル推進部の部長をしています。文字通り、グループ全体のカーボンニュートラルを推進しています。GHG削減戦略およびロードマップ策定から実行といったカーボンニュートラル推進のほかには、旧環境部からの機能ですけども、廃棄物に関する法令や省エネ法への対応などですね。そのほか全社の環境に対する教育浸透、そういった取り組みを担当している部署です。

廣岡氏:

私は、同じくカーボンニュートラル推進部で全社のカーボンニュートラルの取り組みの戦略を考え、それに沿った施策を進めていく業務を担当しています。

山九株式会社さまの脱炭素への考え方・取り組みについて教えてください。

廣岡氏:

山九グループは、「地球環境は全人類にとってかけがえのないものである」との共通認識に立ち、事業活動に伴う環境負荷の低減に努め、環境保全の継続的な活動を積極的に推進しようとしています。脱炭素に関しては、再エネの活用や代替エネルギー車両の導入推進等でCO₂排出量の削減に努めており、サプライチェーン全体での環境負荷低減にも積極的に取り組んでいます。

電気自動車や風力発電建設、マングローブ植林など脱炭素に向けてさまざまな取組みをされている(山九さまHPより)

村上氏:

Scope1・2を対象に、2030年度までに2020年度比42%削減、2050年までに実質ゼロを目指す目標を掲げて、「できることから着実に進めよう!」ということで打ち手を講じています。「事業を進めながらやる」ということなので、いろいろなソリューションがあったとしてもとにかくお金をかければよいというわけではないと考えています。事業の中でメリットがあるものを優先して選び、現場に理解と協力してもらいながら進めることを大切にしています。

拠点ごとに異なる「判断」と「条件」の中で進めた再エネ導入

今回太陽光オンサイトPPAを導入いただいた背景を教えてください。

村上氏:

アイ・グリッドさんとの出会いは、現場からの声でした。何か少しでもコスト削減できないか、と現場で検討していた一人の支店長から「電力コスト」の削減の話があったんです。そのなかで、アイ・グリッドさんは施設の屋根上に全面太陽光パネルを設置できるということだったので検討し始めたんです。自家発電ですと屋根の一部に置くだけに留まることもあるかと思うのですが、せっかく倉庫に広い屋根があるのであれば、全面に置かないともったいないですから。太陽光パネルが屋根上に最大限設置できるという点は魅力的なポイントでした。

カーボンニュートラル推進部 部長 村上公彦 氏

廣岡氏:

ちょうど同時期に、カーボンニュートラルロードマップ策定後の建築案件として、横浜ロジスティクスセンターの建設計画を進めていた中で、太陽光発電など省エネ設備の導入は必要な施策でした。大手電力会社含めいろいろな会社さんからの提案いただいた中で、設備投資の負担なく、太陽光発電を導入できるオンサイトPPAの提案をいただき、施設の屋根上に太陽光パネルを全面設置できるということと、建屋内での再エネ自給率を最大限にするということに特にメリットを感じて採用することにしました。

各地の太陽光オンサイトPPAの導入はどなたが判断するのでしょうか?

村上氏:

我々の会社は各拠点の支店長の判断が大きいです。再エネを検討するスタート時点ではカーボンニュートラル推進部のメンバーが現地へ行って説明したりするのですが、支店長によって感覚は全く違うんですよね。「いいね、断る理由ないね!」という支店長もいれば「リスクはないのか」という方もいますし受け止め方は様々です。我々としても、社内では前例のない事業でしたのでひとつひとつ理解を得ながら進めたことに苦労がありました。

廣岡氏:

現場は「環境に良い電気」というよりも、「電力コスト」が下がる想定であればやらない手はないでしょ、というのは根底にありますね。一方、再エネ導入に前向きであっても、建物の構造条件が合わずに断念するということもあって、拠点ごとに異なる建物条件と意思決定の調整は、多くのハードルがあることは今回やりながらわかってきたことです。

カーボンニュートラル推進部 グループマネージャー 廣岡寿雄 氏

再エネ導入の鍵は、現場が納得できる説明。「本当にメリットがあるのか」対話を重ねながら進めた

現場の意思決定においては何がポイントになっていると思いますか?

村上氏:

そうですね、長期間にわたる契約、コストに関する心配、建屋改造に対するリスクなどはよく話に挙がります。

「20年」という契約期間は、その間に何が起こるかわからないし、支店長自身も10年後同じ支店にいるとも限らないので、懸念ポイントとしてよく質問を受けます。そういった点ではアイ・グリッドさんは解約フリープランというのがありますから、契約期間リスクは納得してもらえていると思います。

コストに関しては、そもそも電気代は間接費ですし、使用量や季節要因、電力価格の変動など自分たちでコントロールしきれないところがありますよね。太陽光オンサイトPPAを導入すると、「電力単価を20年間固定化できる」つまり「安定した電力単価になる」という話なのですが、現場からは「本当にメリットがあるのか」という声が出ることもあります。なので、PPAの仕組みや導入前後でのコスト効果などを丁寧に説明しながら理解を得ています。

廣岡氏:

現場でコストがかかるのは圧倒的に人件費なんですよね。特定の技術が必要な現場では何より人材確保が大切。電気代が決め手になって、事業所が赤字になるということはないですから、数年間で大幅に電気代が上がっていても気にしていないということが一般的だと思います。なので、我々のような部署が、社内の再エネ活用意識を高めたり、導入の提案へ話に行ったりということを担って推進しているんです。

村上氏:

それから、設備に対する負荷や影響に関しても心配の声がよくあがります。例えば、古い既設の屋根に太陽光パネルを載せる場合の雨漏りへの心配などです。太陽光パネルを設置することで雨漏りが助長されるのではないか、修理代はどうするのか、このあたりは説明が必要になるポイントだったりしますね。

設備に対する心配という点でいいますと、危険物倉庫への太陽光オンサイトPPA導入もとてもチャレンジングな決定だと伺いました。

廣岡氏:

危険物倉庫は、火災が起きたときに圧力が上に逃げるように屋根が抜ける構造になっているんです。そういう構造にわざわざしているのだから重いものを乗っけちゃいけない、という先入観があって、まあそれはそうですよね。それを、そんなことないですよって説明して回ったりしてますね。アイ・グリッドさんも一緒に現地に行って確認してくれたりだとか、もちろん調べてダメですね、ってこともありますけど、問題ないねとなると、じゃあやろうか、と導入が進んでいます。危険物倉庫は、ドライの工場よりも空調をしっかり入れたりだとかで、意外と電力を使うんですよ。

社内でつくった再エネを、余すことなく活用する仕組みへ

横浜ロジスティクスセンターの余剰電力を鹿島支店管理の6号倉庫、鹿島支店事務所、鹿島物流センターに「循環型電力」としてご導入いただきました。

村上氏:

我々としても全施設に太陽光パネルを置けると脱炭素目標もグッと進みますし、やっぱり載せられるところは載せたいのですが、建物強度が足りず、ほかの方法を検討せざるを得ないことは少なくありませんでした。結局自分たちで作り出せなかったら、買ってくるしかないですから。そうした中で、余剰電力を支店間で循環させてみんなで使おうという提案をいただいたんです。

鹿島支店の建物は、屋根が大きく、これはいけるぞ!とみんなで喜んでいたのですが、構造上は設置が無理でした。ただ、再エネ導入に対しては前向きな支店だったので横浜ロジスティクスセンターの余剰電力を活用することを提案してみたんですね。

横浜ロジスティクスセンターに設置されている太陽光オンサイトPPA
年間約95トンのCO₂削減を実現している

廣岡氏:

再エネの導入は、やれるところはやっていこうという考え方なので、太陽光を設置できないから終わりではなく、余りが多ければ支店間で循環してみんなで使う、そういう話ができるのはアイ・グリッドさんならではです。現在、鹿島支店の対象3施設は再エネ率100%を実現し、年間約301トンものCO₂削減につながっています。また、導入前に契約していた電力会社のプランを継続した場合と比較すると、年間約97万円の経済効果が生まれています。新たな発電設備を設置せずに、社内でつくった電力を活用することでCO₂削減につながっている、山九グループで生み出された再エネを社内で余すことなく活用できている点は非常に満足しています。

村上氏:

今回を機に再エネ調達の方法として、まずは太陽光、次に太陽光パネルが置けない場合は余剰電力が活用できる「循環型電力」を考えるようになりました。

再エネ活用の選択肢を広げる柔軟な提案で、ともに課題に向き合うGXパートナー

今回、アイ・グリッドを選定いただいている中でGXパートナーだと感じていただいている点はありますか?

村上氏:

いま、いわゆるScope2における対応施策に協力してもらっているのですけど、「環境価値のある電力」というのは現場では特に理解を得づらいんですね、目に見えませんし。なのでアピールするための活動を一緒に伴走してもらえているのは有難いです。今後もScope2を最終的にゼロにもっていくというところのご協力はいただきたいですね。

廣岡氏:

太陽光発電というソリューションを持ちながら、電気を小売するという2つの組み合わせでサービスを提供しているなかで、あらかじめ決まっているメニュー立てた提案でなく、柔軟にオーダーしていけるのはとても助かっています。我々のように小さな事業所が多数あるところだと、低圧の施設箇所も多いのですけど、そんなところにも対応してもらっています。今回の循環型電力のように、再エネの活用はできないと思っていたところも知恵を出してもらって、再エネを使う方法を広げていけているのはいいですよね。

事業との両立を見据え、次の脱炭素施策を模索する

「環境や気候変動への取り組み」について、今後の展望を教えてください。

村上氏:

我々は物流会社なので、トラックとかそういったところの燃料に関するCO₂がどうしても多いのが現実です。じゃあそこをどうするか、結局どこまで投資するのか、というのを今まさに協議しています。実際のところ目標に対しては非常に厳しいですし、大変なのは現実です。とにかくお金をかければいいというわけでもないですし、企業価値を上げるためにだとか、最終的には「環境のために」というのを事業にどうつなげるか、事業拡大にどのように貢献していくかというのを検討しているところです。

今後もモーダルシフトや共同配送等の顧客やサプライヤーと協調した取り組みに注力して、サプライチェーン全体のカーボンニュートラル推進に取り組んでいかなければならないと考えています。

山九本社ビル、第二ビルでは再エネ由来の電気を使用。 CO₂削減量表示の看板を設置されている

補足説明
解約フリープラン

予期せず移転や退店が発生した場合に、中途解約においても違約金が発生しないプランです。ただし適用には諸条件がありますので、詳細はお問い合わせください。

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