赤城乳業株式会社さま
【食品製造】

無理をしない、でも見極める
身の丈にあった脱炭素の判断軸

大量のエネルギーを消費する冷凍・冷蔵設備を持つ食品工場において、電力コストは経営に直結する重要な要素です。赤城乳業株式会社では、再エネ導入をCO₂削減の施策としてだけではなく、「事業として成り立つか」という視点で検討した結果、中長期の投資効果を重視した判断として太陽光オンサイトPPAを導入しました。背景には、電気単価のわずかな変動が収益に大きく影響するという事業特性があります。5年先を見据えて再エネ投資を判断した意思決定と、その後の変化についてお話を伺いました。

お話を伺った方

  • 赤城ホールディングス株式会社 執行役員 総合サービス事業 部長 松永秀一 さま
  • 赤城ホールディングス株式会社 リノベーション部 部長 福丸英人 さま

企業紹介

創業は昭和6年、設立は昭和36年で2026年に65周年を迎えた赤城乳業株式会社。代表的なアイスブランド「ガリガリ君」をはじめとしたアイス専業メーカー。3代目代表取締役社長 井上創太社長のもと、スローガンに「あそびましょ。」を掲げ、全国のお客様においしさと楽しさを提供している。未来に向けた持続的成長戦略の実行、経営人財・自律的な人財の育成、事業領域の拡大のため、グループ会社の経営管理として2025年に赤城ホールディングスを設立。

導入サービス
太陽光オンサイトPPA
導入施設
本庄千本さくら『5S』工場 (一部)
追加導入予定:本庄千本さくら『5S』工場 (追加設置)
新規導入予定:深谷工場
記事のポイント
  • 中長期で投資効果を見極め、事業とのバランスを踏まえ再エネ導入を判断
  • 「できる範囲からやる」という考えで、段階的に太陽光オンサイトPPAを導入
  • 導入当初想定を上回り、3〜4倍のメリットにつながり導入価値が明確に

「工場は今、私たちは5年後」身の丈にあった“脱炭素への”取り組み姿勢

みなさんが所属している部署や役割、ミッションについて教えてください。

福丸氏:

私は以前深谷工場の工場長を務めていたのですが、もう50年も経っている自社工場の改装をしようということもあり、2025年10月に赤城ホールディングス株式会社に新設されたリノベーション部の部長をしています。

松永氏:

私は執行役員で、総合サービス事業部との兼任なんですが、深谷工場のリノベーションの企画推進、カーボンニュートラルに向けての取り組みなどのほか、定年延長の雇用開発などの領域までいろいろとやっています。リノベーション関連は実質2人でやってまして、補助金関連の申請や埼玉県地球温暖化防止条例への取り組みなんかも管轄ですね。

執行役員 総合サービス事業 部長 松永秀一 氏

赤城乳業株式会社さまの脱炭素への考え方・取り組みについて教えてください。

福丸氏:

脱炭素については主に設備投資をして省エネに取り組んでいる現状です。工場には、いわゆるエネルギーの管理や工場動力の運転管理をしている環境施設課がありまして、エネルギー管理士もいますので、工場で取り組む省エネなどを年に1回データをとりまとめて政府にお送りしています。

松永氏:

工場の現場担当者と我々の視点でいうと、工場は直近、わたしたちは5年後を見据えて、エネルギーと向き合っています。

福丸氏:

現時点ではCO₂削減に関する明確な数値目標を掲げているわけではありませんが、大型冷凍設備については2040年までに自然冷媒への切り替えを進める方針など世の中の動きに合わせて脱炭素に取り組んでいます。私たちが重視しているのは、「今、何が最適なのか」を冷静に見極めることです。設備投資によってCO₂削減が実現できたとしても、投資効果が見合わなければ継続的な取り組みにはなりません。そういった事業とのバランスを考慮し、身の丈にあった取り組みをしています。

電力はコストである前に“止められないインフラ”という現実

冷凍製造工場を運営する御社にとって“エネルギー”はどのような存在ですか。

福丸氏:

赤城乳業の工場では、プラス90度からマイナス30度まで温度を動かすなど製造工程そのものがエネルギー負荷の高い構造になっています。さらに、製造途中で止めると、その時点の商品がほぼ使えなくなるため、製造を止められないという特性があります。全国のお店に安定して供給するためには、販売計画に沿って工場を計画通りに操業することが重要です。そのため万が一の停電などが発生した場合はリスクが大きいです。電力は「コスト」の前に「止まると困るもの」です。

松永氏:

電力環境は不安定さも抱えています。落雷などで年に数回は停電することもあるんですが、その時のために発電機だとか蓄電池だとかも考えたんですよ。私たちにとって電力は単なるコストではなく、事業を支える重要なインフラです。電力価格の変動への対応はもちろん、安定供給を確保するための備えも含めて、エネルギーに関する取り組みは経営上の重要なテーマの一つととらえています。

リノベーション部 部長 福丸英人 氏

“まずはできる範囲から”はじめる、中長期的な経営合理性を重視した 再エネ投資判断

太陽光オンサイトPPA導入の決め手はなんだったのでしょうか。

松永氏:

太陽光導入自体は、過去にも検討したことがありました。2010年頃、当時主流の固定価格買取制度(FIT)は、数億円を投じても一定期間で投資回収が見込める状況だったのですが、「利益は本業で出すべきだ」という経営判断にいたった経緯があります。太陽光発電への投資そのものを否定したわけではなく、限られた経営資源をどこに配分するかを考えた結果、本庄千本さくら『5S』工場の建設をはじめとする、生産能力の向上や事業成長につながる設備投資を優先したのです。結果として、本庄千本さくら『5S』工場の稼働以降、当社の事業は順調に成長を続けています。

その後、再生可能エネルギーへの注目が高まる中で、2020年頃改めて導入を検討することになりました。そのタイミングでご提案いただいたのが、初期投資不要で導入できるオンサイトPPAです。「設備投資をしない形でできるならやろう」という判断にいたりました。決め手のポイントは、「まずはできる範囲からやろう」という考えでした。意思決定基準として投資効果が3年以内に出るならやる、5年くらいなら検討、5年を超えると様子を見るくらいで考えているため、再エネかどうかではなく、中長期で見た際に「事業として成立するか」が決め手でした。

工場見学も大人気の 本庄千本さくら『5S』工場

投資効果の高まりを受け、再エネ導入を拡大

導入してから約5年経ちましたが導入効果はどのように感じていらっしゃいますか。

松永氏:

最も大きかったのは電力価格高騰による想定以上のコスト効果です。導入当初は発電規模500kWの導入で年間60~70万円コスト削減を見込んでいましたが、後の電気料金上昇によって当初想定の3〜4倍程度のコスト削減メリットにつながりました。導入時はここまでの効果は想定していませんでしたが、結果として再エネ導入が電力価格高騰への有効な対策になりました。

このような効果も受けて、今回本庄千本さくら『5S』工場への増設と深谷工場への新規導入を決めました。(太陽光オンサイトPPA導入は、太陽光発電設備そのものに対する初期投資は不要ですが、)本庄千本さくら『5S』工場への追加導入において、当社は特高受電で運用しているので、EVT(接地形計器用変圧器)の設置や関連工事が必要です。さらに、工事期間中に発生する3日間の停電を回避するため、発電機の手配なども行う必要がありました。こうした費用を含めると、この追加導入プロジェクトには約1億円規模の投資をする判断をしました。2026年4月以降の電力価格の改定水準を前提に試算した結果、約6年程度で投資回収できる見込みがたったため、「今なら十分に導入価値がある」という判断にいたりました。元々kWhあたりの電力量料金単価が21〜2円とかくらいからだったと思うのですけど、それが25〜6円になるということだったので、この20%くらい上がる改定はインパクトありましたね。

本庄千本さくら『5S』工場に設置されている太陽光オンサイトPPA(追加設置前)

設備導入だけで終わらない、継続運用を支えるGXパートナー

今回、アイ・グリッドを選定いただいている中でGXパートナーだと感じていただいている点はありますか?

福丸氏:

お取引のきっかけは得意先からのご紹介だったのですが、本庄千本さくら『5S』工場での実績もあり、営業担当の方々らのサービス提供や提案力が優れているので追加導入もお願いすることにいたしました。

松永氏:

遠隔監視サービス(R.E.A.L. New Energy PlatformⓇ)※ の手厚さは、導入後、特に印象的でした。発電量がわずかに低下した際に、アイ・グリッドさんの方から「パネルに異常がある可能性があるので確認させてください」とすぐに連絡してきてくださいました。そして1週間後には対応策を提示いただいたんですが、こんなにも細かいところまで見てくれているのには驚きました。実際にはパネル数枚分程度の発電量低下だったのですが、そのわずかな推移まで監視いただいていて、管理体制がしっかりされているなと感じました。

R.E.A.L. New Energy PlatformⓇについてアイ・グリッドからご案内

生活に寄り添い、愛されてきた商品を届け続けるために、これからも“できることから積み重ねていく”

「環境や気候変動への取り組み」について、今後の展望を教えてください。

松永氏:

私は新技術・新設備などの情報収集と導入計画にも携わることもあり、工場見学をさせていただいたりだとか、いろいろな情報を得意先や工場を持つような様々な企業方と交換します。他社の動向や業界の動向など、未来のための「引き出し」を準備しておくというのはとても大切だと思っています。
そうした情報交換の中からもヒントを得ながら、今後も未来に向けたカーボンニュートラルの取り組みにおいて具現可能な範囲で再生可能エネルギー比率を少しでも上げていこうと思います。

福丸氏:

地球温暖化はアイスメーカーとしては追い風という声もありますが、需要が増えれば生産量を増やす必要があり、工場の稼働率やエネルギー使用量も高まります。また我々は、埼玉の北部で人口の少ない地域なので、工場で働く人たちのための工場送迎なんかもやるとなるとエネルギーがかかります。原材料の高騰や容器をプラスチックから紙に変えるというのもコストがかかる。そんな中でもガリガリ君を45年間お届けできているのは、やっぱり企業努力なんですね。脱炭素の取り組みはまだまだこれからやるべきことがあると感じていますが、身の丈に合わせた省エネやSDGsに取り組んでいきたいと思います。

補足説明
遠隔監視サービス(R.E.A.L. New Energy PlatformⓇ)
太陽光発電データ、過去の電力使用データ、気象データなどを基にAI予測モデルを構築し、発電量と電力使用量をリアルタイムで予測する独自開発のAIプラットフォームです。アイ・グリッド・ソリューションズは、本システムで得られる予測データや稼働状況を活用しながら、設備の安定稼働に向けた保守・運用などのアフターフォローを行っています。詳しくはhttps://igrid.co.jp/gx/solution/real/をご覧ください。
導入について不明な点は、
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